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MDSD(Multiple Double Speed DSD)

MDSDは、スーパーオーディオCD(SACD)再生時の雑音除去性能を向上させる技術です。スーパーオーディオCDに収録されている信号(2.822MHz,1bitのDSD信号)は、周波数帯域が広くダイナミックレンジが広いのが特長ですが、主に100kHz以上の可聴帯域外には量子化雑音と呼ばれる大きな雑音が存在します。MDSDは“ダブルスピード化”と“移動平均フィルター”という技術を使って、この高い周波数帯域に存在する雑音を除去しています。

MDSDの原理

① ダブルスピード化
図はDC-801で使用したMDSDの構成図です。入力された1ビットのDSD信号は、始めに2.822MHzから5.644MHzへと二倍の速度にアップサンプリング(ダブルスピード化)されます。これは可聴帯域内の周波数特性を平坦にし、後の移動平均フィルターを効果的に働かせる役割をしています。

② 移動平均フィルター
ボリューム演算された1ビット信号は,高速信号処理回路により177ナノ秒(1秒の約560万分の一)ずつタイミングをシフトした信号に分けられます。そしてそれぞれを複数個の高性能D/Aコンバーター(DC-801の場合は1チャンネルあたり8個)に入力し、アナログ信号に変換した後、それらを一斉に合成して出力します。こうすることにより急峻な変化を持つ信号成分、すなわち高い周波数は順次平均化され回路全体が高域の不要雑音を除去するハイカットフィルターとして働きます。
MDSD方式は1ビットのDSD信号を直接信号処理することができるため、一般的なディジタルフィルタリングによる余分な雑音が付加されず、極めて自然なフィルター効果が得られるのが特長です。

MDSD構成図

MDSD構成図

DC-801のデジタル信号処理部

MDSD方式を採用したDC-801のデジタル信号処理部

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